語り手:海老塚 直人
聞き手:岡田 潤一(セルフストーリーチャート インストラクター)
かつて自分のジムを経営し、畳んだ経験を持つ海老塚さん。結婚をし、これから家族を守らなければならない責任感と、「成功したい」という渇望。しかし現実は、会社員としての評価も副業の成果も、すべてが中途半端に感じられた。
ベットに入っても、思考は止まらない。「今日も何も変わらず終わった」「俺は妻に口だけの夢を語っているだけじゃないか」。
外から見れば「再起を図る若きビジネスマン」かもしれない。けれどその内面は、「稼がなきゃいけない」というプレッシャーと、「また失敗するかもしれない」という恐怖の板挟みがあった。
これは、そんな彼が「セルフストーリーチャート」という羅針盤を手にし、本来の自分を取り戻していくまでの物語である。

「稼がなきゃいけない」に縛られる日々
岡田:
セルフストーリーチャートを受講する前の海老塚さんの状況を改めて教えていただけますか?
海老塚:
あの頃は本当にきつかったです。一番は、「稼がなきゃいけないのに、動けない」という焦りです。
結婚をして、今後子どもが生まれた時のことを考えると、会社員のままでは自分の理想の生活は難しい。でも、過去に失敗した経験があるから、「またダメなんじゃないか」という恐怖がありました。
岡田:
「挑戦したいけれど、自信がない」という葛藤ですね。
海老塚:
そうです。周りからは「あいつ、元経営者なのに何やってるの?」と思われているんじゃないかという被害妄想も膨らんで。妻に対して「将来こうしたい」と語るばかりで、今日も何も変わらず1日が終わったなと。そんなことばかり考えて、寝れない夜が続いていました。
岡田:
そんな中で、数あるコーチングやメソッドの中から、なぜ「セルフストーリーチャート」を選んだのですか?
海老塚:
決定打は、岡田さんの変化でした。久しぶりに会った時、顔つきが全然違ってイキイキしていた。「これは何かあるな」と直感しました。
プラスして、岡田さんが僕の過去の失敗もよく知っているということです。新しいコーチにお願いすると、どうしても「よく見せよう」として過去を隠してしまうかもしれない。でも、僕のどん底を知っている岡田さんとなら、カッコつけずに全部さらけ出して、この苦しみから抜け出せる気がしました。
自分を縛っていた「思い込み」の正体
岡田:
そこからセッションが始まり、海老塚さんを縛っていた「パターン」が見つかりました。「目立ちたい」という欲求があるのに、「目立ってはいけない」とブレーキを踏んでいる感覚でしたね。
海老塚:
そうですね。幼少期に兄とゲームをして勝つと殴られたことで「目立ってはいけない」、父親との関係の中で「恥ずかしい思いをしたくない」という刷り込みがあり、無意識に自分を抑圧していました。
そのパターンを認識し、当時の自分に意識をつなげ、自己承認をして解消した結果、「あ、なんだ。他人の目なんてどうでもいいじゃん」と憑き物が落ちたように楽になりました。

岡田:
そこで新たに「目立つ」というストーリーが出てきましたよね。そこから日常生活はどう変わりましたか?
海老塚:
すごく生きやすくなりました。例えばSNSも、これまでは「どう見られるか」を気にして投稿できなかったのが、「あげたいものはあげればいいや」と軽く考えられるようになった。
会話でも、自然と言いたいことが言えるようになりましたね。以前は、会食の後に家に帰って、「今日あれ言えなかったな」「うまく話せなかったな」って一人反省会をすることが多かったんですけど、それが一切なくなりました。
岡田:
素晴らしい変化ですね。そしてもう一つ、「勝負師」というストーリーも出てきましたね。
海老塚:
はい。それが草野球の結果に直結しました。小学生のころから、野球やリレー、なんでも勝負をして1番になることに生きがいを感じていました。
そのストーリーを認識してからは「ただ勝負を楽しめばいい」と、打席での迷いが消えて、3試合でホームラン2本打ちました(笑)
元独立リーグ選手の弟に対しても引け目を感じていたのが、「今の俺なら勝てる」と本気で思えるようになり、実際に打つ方の成績では勝つことができた。この「自分を信じられる感覚」が戻ってきたのが大きいです。

「遠慮」を捨てたら、仕事の成果が変わった。
岡田:
その内面の変化は、実際のビジネスシーンでも明確な成果として現れましたか?
海老塚:
もちろんです。実は独立した後も、前職の代表からお仕事をいただき、展示会の業務などを手伝っているのですが、そこでのパフォーマンスが劇的に変わりました。
以前は目立ってはいけないパターンがあったので、何か気づいても言わずに飲み込んでいました。でも今は、パターンが解消されたおかげで、自分が思ったこと、感じたことを遠慮せずに伝えられるようになったんです。熱量を持って相手に伝えられるようになった結果、実際に受注の増加にも繋がっています。
岡田:
「言いたいことが言える」が、そのまま「売上」に直結したわけですね。対人関係のスタンスも変わりましたか?
海老塚:
激変しました。これまでは相手の学歴や経歴を見て、「自分より優秀な人だ」と無意識に萎縮してしまい、自信を持って話せなかったんです。
でも今は、相手が誰であろうと堂々と会話ができる。ある交流会でAI事業の会社を経営している方と知り合ったんですが、自分の得意領域じゃなくても、これまでの経験から「違う角度」で堂々と意見を言えたんです。
そうしたら後日、「ぜひ相談に乗ってほしい」とお会いする機会をいただけて。昔の自分なら、AI会社の社長なんて聞いただけで尻込みしていたと思います(笑)
「相手のストーリー」を考えるだけで関係性は変わる
岡田:
今の話で思い出したのですが、海老塚さんにとっての「パターンの根源」でもあったお兄さんとの関係にも、大きな変化があったそうですね。
海老塚:
そうなんです。これまでは兄に対しても、どこか疑われているような感覚があって本音で話せなかった。でも自分に自信がついたことで、兄にも意見を言えるようになったんです。
仕事の話もしっかり伝えたら、「お前、すごいちゃんと考えてるな」と褒められたり、逆に相談を受けたりして。あの兄から承認された感覚は、すごく大きかったですね。
岡田:
それは海老塚さん自身が変わっただけでなく、「兄のストーリー」を考えられるようになったからだとか。
海老塚:
はい。「兄はどういう時に一番喜びを感じるんだろう?」と相手のストーリーが気になってきたんです。そこで「きっと、はしゃぎたい場が欲しいんだろうな」と思って、一緒にゴルフに行ってみたんですよ。
岡田:
結果はどうでした?
海老塚:
もう、めちゃくちゃ楽しそうにしてました(笑)。
僕が兄のストーリーを満たすような時間を共有したことで、その後の関係性がすごく良くなって。その良い空気感のまま仕事の話をしたからこそ、スムーズに認め合えたんだと思います。「相手のストーリーを考えて接すれば、人間関係が悪くなるわけがない」と実感した出来事でした。
岡田:
そうした変化は、会社を辞める時の行動にも現れましたよね。
海老塚:
昔の僕なら、辞める時は関係が悪化したり、逃げるようにフェードアウトしていたと思います。でも今回は、ストーリーを軸に生きていたから、最後まで全力でやりきろうと思えました。
ストーリーを生きると「運」ではなく「必然」として出会う。
岡田:
そして今、新たな挑戦として「整体の店舗展開」を進めていますが、ここでも面白い出来事があったとか。
海老塚:
はい。前職の元同僚で、恵比寿でジムを経営している方と一緒にスタートすることになりました。さらに、現場スタッフを探していたら、たまたま別の元同僚が整体経験者で「手伝いたい」と言ってくれて。2月の開店に向けて準備が整い始めました。
岡田:
出来すぎた話に聞こえますが、これは偶然だと思いますか?
海老塚:
昔の僕なら「運が良かった」で終わらせていたと思います。でも今は違います。
自分のストーリーを正しく認識して生きていると、「出会うべくして出会う」という感覚なんです。運任せではなく、「自分で自分をコントロールして、必要な出会いを手繰り寄せている」という確かな手応えがあります。

岡田:
ありがとうございます。最後に、この「セルフストーリーチャート」をどんな人に勧めたいですか?
海老塚:
かつての僕のように、「考えすぎて動けなくなっている人」や「他人の目が気になって生きづらさを感じている人」ですね。
このメソッドは、怪しいスピリチュアルのようなものではなく、極めてロジカルに自分の内面を紐解くメソッドです。コーチングとは違って、自分自身の対話、自分自身で紡ぎ出した言葉で理解が深まっていきます。
「自分は何者なのか」を知り、不要なパターンを解消するだけで、仕事のパフォーマンスも、人間関係も変わっていきます。僕がそうだったように、苦しみの中にいる人にこそ、この「人生が楽になる感覚」を味わってほしいです。
【インタビューを終えて】いまの「苦しみ」には、きっと意味がある
海老塚さんの物語を通じて、私たちは「苦しみ(ペイン)」の正体について考えさせられました。
多くの人は、苦しみを「避けるべき不幸」と捉え、そこから抜け出すための優れた方法論や知識を探し求める。しかし、苦しみを生んでいるのは状況そのものではなく、「なぜ苦しいのか」「何のために苦しいのか」という“意味”が分かっていないということ。
自分を俯瞰して見れば、人生における停滞やどん底(ローライト)は、決して失敗ではない。
例えば、大谷翔平選手があえて二刀流に挑戦し、厳しい環境に身を置くのは、彼にとってその負荷こそが成長に不可欠なプロセスであり、人生の「ハイライト」なると理解しているからだと思います。
海老塚さんが経験した不眠の夜も、苦悩の日々も、彼が「勝負師」として生きるために自ら書いた脚本の一部。その意味に気づき、「これはオーディエンスに応援されながら演じている、一番美味しい局面だ」と腹落ちしてしまえば、人はその瞬間からハッピーになれます。
セルフストーリーチャートとは、自分という人間を他者でもなく世にある知識や情報でもなく、「自分自身で確かめ続ける」ためのメソッド&ツールです。
海老塚さんと同じように、自分の物語を紡ぎたいと思っていただいた方には、ぜひセルフストーリーチャートを体験・体感いただきたいです。少しでも興味のある方、詳細を知りたい方は、ぜひYour Verseへご連絡ください。

